佐賀新聞メディアホールディングス(中尾清一郎社長)は20日、地方創生に向けた自治体の取り組みを支援する「企業版ふるさと納税」に関し、仲介サービス最大手の「カルティブ」(横浜市)など2社と営業受託契約を結んだ。地域の事情に精通した地方紙のノウハウや情報網を生かし、県内の自治体が企業の寄付を求める上で必要な地域再生計画の策定や、事業の推進を後押しする。
企業版ふるさと納税は、応援したい自治体の地域活性化事業に寄付した企業の税負担を軽くする制度で、2016年度に始まった。個人版と異なり、自治体からの見返りはないが、企業はイメージアップや地域資源を生かした新たな事業展開などが期待できる。地方への資金の流れを加速させたいと、制度を利用した企業の税軽減は本年度から、寄付額の約9割に引き上げられている。
調印式は佐賀市の佐賀新聞社であり、カルティブに加え、同社の九州事業を担う「サイバーレコード」(熊本市)と契約した。中尾社長は「企業版ふるさと納税には、東京一極集中というアンバランスを是正する力があり、『三方良し』という日本的な美意識にもかなっている。県内全ての自治体に持ちかけ、税収増や地域振興に尽力したい」と述べた。
サイバーレコードの増田一哉社長は、九州・沖縄に寄付をしたいという企業が最も多いという内閣府の調査結果に触れ、「自治体と企業の間に入り、(企業への)メリットをどう付けていくか。佐賀新聞とともに地域の課題を解決したい」と意気込んだ。すでに三養基郡みやき町と、女子サッカーの振興などに関する約36億円のプロジェクトが動き出しているという。
内閣府によると、企業版ふるさと納税について県内では16~18年度までに41件、4億6403万円の寄付が寄せられている。